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曽々木地区の土石流現場。大量の土砂が流れ込み、国道も寸断した=2024年9月30日、石川県輪島市、鈴木智之撮影

 能登半島を襲った豪雨による土砂災害について、京都大防災研究所の竹林洋史准教授(砂防工学)が輪島市で大きな被害の出た箇所の土石流を分析したところ、曽々木地区では少なめの雨量でも土石流が起きていたことがわかった。地震の影響があったとみられる。

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 日本海に面する同市町野町曽々木地区は、1月の地震で宅地近くの急勾配の斜面が複数崩壊した。崩れた土や石の多くが渓流の途中にたまったという。

 9月21日の豪雨では、午前9時ごろ、これらの土砂を起点に土石流が発生したと考えられる。

 積算雨量は167ミリ。竹林さんは「(一部地域を除き)これほどの雨量で土石流が発生することは非常に少ない」と説明する。「地震によって発生した不安定土砂は早めに撤去する必要がある」

 二つの渓流で土石流が発生し、宅地に押し寄せた大量の土砂は建物を破壊。同30日に実施した現地調査では、2メートル以上の石も見られた。

【動画】崩壊から30秒前後で宅地へ 輪島の土石流シミュレーション=京都大防災研究所の竹林洋史准教授提供

 地形データなどから行った竹林さんのシミュレーションによると、最初の土石流は崩壊から33秒で宅地に達していた。到達時点での深さは1.8メートル、流速は時速25キロと計算された。

 「土石流センサーなどで発生を確認できたとしても避難は非常に困難」と分析する。

 同じ山の別の斜面では、同日…

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